三軸修正法黎明期
「これからまくタネ」 6〜10
池上悟朗の
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■「これからまくタネ」は、演出上動画を組み込んでおります■
ご覧になる方の環境によっては、「かなり重い」場合もあると思われますがご了承下さい。
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「これからまくタネ」 6
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「こわがり」
幼児の私はハイハイから立って歩くまでがかなり時間を要したらしいです。実は立っては
いたのですが、こたつの縁から手が離せませんでした。「つたい歩き」ですね。
歩けているのにその手が離せない状態がとてもとても長いので業を煮やした父がだまして
別な場所に立たせると凄い勢いで飛びついてきたそうです。完全に歩けているじゃない!
一番ひどい例では、一人で歩けるようになった後、新聞紙の上に乗せると「にのにのにの」
と言いながら「さん!」にならずに紙一枚の上から降りられなかったそうです。その時
新聞1枚の上から床までの0.1mmの間に何が見えていたのでしょう。近くから見てい
る父はさぞかしイライラが募ったことでしょう。
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「慎重な性格」にもほどがあります。
それからずっと自分の気の小ささに困り果てる人生が長いわけですが、生まれてすぐから
こんな子供ですから、親の教育のしかた云々とは関係ありません。もともと気弱な気質を
もって生まれたと考えた方があきらめがつくというものですが親戚にはだれもそんなに
気弱な人の話は聞いたことがないとのことです。全くありがたい神様のプレゼントです。
つづく
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「これからまくタネ」 7
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「肥満児」
そんな性格ですから外には出たがらず、インドアオンリーでもの凄い肥満児でした。
こんな話があります。学校を改造したようなアパートに住んでいたころ、私が幼稚園
でした。東西に長いアパートで長く廊下をはさんで北側と南側に部屋が並んでいました。
大家さんが面白い人で家賃を値上げするのに夏は北側の部屋に交渉に行き、冬は南側
のたなごの家賃を上げに行くという具合です。だからうちは冬に大家さんが来たのです。
母が「家賃がこれ以上上がったら食べていけませんよ」と断ると「あんたの子供を
見れば全然心配いらないね」と聞いてくれなかったそうですからそれほど丸々として
いたということですね。
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幼稚園での運動会では「かけっこ」にならないわけです。だぶだぶしたぜい肉が上下
するだけで気持ちばかりがゴールに向かう姿を、父の自己申告なので確かめようもあ
りませんが「足が速く」「水泳の選手」で「ガキ大将」だった父から見ると耐えられ
ない我が子の姿だったかもしれません。それにしても「なわとび」「鉄棒」「うんてい」
など見るに見かねた父が「これだけ出来るまで帰ってくるな!」「明日テストだ!」
などと怒鳴っても今の運動能力じゃ急に言ったって「根性」じゃ無理だって言うのに。
つづく
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「これからまくタネ」 8
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「芝刈り」
さて私の小さいときにどんな子供だったかお話しした後でこれからは、私から見た父と
私の「関係」などと言えるモンじゃありません。父にどれだけ怒られたかをしばらくお
読みいただくことになってしまいます。
もちろん今は父のことを恨んだりしているわけではありませんのでご安心いただき、小学生の私の感じたことをそのまま書かせていただきます。
先日内田樹先生と父と私と弟がご一緒させていただいたおりに「やあ家庭というのは理不尽や不条理を教えるところなんですよ。家庭が一番良いから外に行ったら辛いことだらけになるんですよ」などと上機嫌に語っていましたが、それを受ける側はひどい気分だったというお話です。
私が小学校の高学年に両親は現在の家を建てました。家の裏が広く空いていまして、その頃ゴルフに凝っていた父がゴルフの打ちっ放し用ネットを立てました。芝生を植えるように命令されたのですが、その後父が突然思い立つたびに芝刈りは私の仕事です。この芝刈りだけで随分父に怒られました。長くのびた芝生をみると思い出します。
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「これからまくタネ」 9
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「ヒマだろ!」
この頃からなぜだか父は何か思いつくと突然私に用事を言い付け、自分はずっと気にしているくせに、いちいち途中のやり方がどうとか道具の使い方がどうとか、結果の報告が悪いとか、そんなに気になるなら自分ですればいいのに、途中で見に来ては文句をいい、結果を見ては怒り、すませた後では時間が掛かりすぎるとか反省点を言わせ、その言い方がなっていないと、長々と説教をする毎日だったように思います。私の都合は全くかまわず、すべてにおいて、「お前には何が出来るって言うんだ!この家に住まわせてやっているんだから俺の言うことは絶対だ!」のような論理です。
「おい!お前ヒマだろ!来い!」が決まり文句です。まあ訓練だと思えなくもないのですが、あまりにも理不尽な言われようですし何より参るのが説教の長さです。昼から始めて夕方までなんて当たり前。おかげで多少我慢強くはなりました。
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「これからまくタネ」 10
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「お小遣い」
欲しいものがある訳じゃないから、小遣いが欲しいわけじゃないんですが、お金の事
は楽しくない思い出ばかりです。両親からお金をもらうのはこんな具合です。
「おい!こういう仕事があるがいくらでやる?」から始まります。いつも「こんな事も
出来ないのか!」と怒られてばかりなので「100円」とか答えたものなら「自分をそんなに安く売っても良いのか!自信をもって高く売れないやつは駄目だ!」「その程度の仕事しかする気がないのか!」と来ます。その反対に「1000円」とか答えると、「お前はこのような仕事をやっている人の時給を知っているのか!何が根拠でその値段言えるのか説明しろ!!」です。「3分以内に調べてこい!」みたいにいちいち時間制限付き。たいがいの場合どちらを答えても怒られるんです。
でも答えなきゃ。父は決まって仕事をした内容について長ーい説教が終わった後で提示金額の何倍かくれるんです。そのことで父は最終的にかっこいい役で終わるんですけど、私はというともう疲れ切っちゃって嬉しいどころか、そうやって沢山もらった場合は逆に惨めな思いをするわけです。
ぼろくそに言われた後に施してもらったような感じです。当然好きには使えませんから母に預けて「自由な」お金はいつも1円も無いわけです。
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